守りのCFOと攻めのCFOを使い分け、CEOの経営意思決定をスピーディーに示唆し、黒子として、キャッシュフローを最大化する

ー 今回の田中さんとエイケーさんの協業の経緯を教えて下さい。

田中「ビジネス交流会で久土地社長と名刺交換をさせて頂いたことがきっかけです。その際に、お互いの会社概要と事業概要について、御話をさせて頂きました。エイケーさんは、当時業績が右肩上がりでした。その翌週に、都内で再度久土地社長とお会いをした際に、直近の決算書3期分をお持ち頂きまして、田中さん、うちのCFOになって下さい、と、とてもスピーディーな展開でした。」

久土地「そうだったね。すぐに意気投合した。」

田中「当時、当社ではスーパーマーケットのターンアラウンド案件や、IT企業の再生案件、各種M&Aアドバイザリー業務の案件に従事をさせて頂きました。
エイケーさんは、企業再生の案件でもなく、IPOを企図されている訳でもなく、どちらかというと予実管理や管理業務メインになるかと思っておりました。
また、久土地社長のご家族のほぼ皆様が、会社に関わっておられる、いわゆる家族経営の会社さんということも、CFOとして参画する重みを感じました。
ただ、当方にとっても挑戦をさせて頂き、お受けさせて下さいという流れになったのがスタートの経緯です。」

久土地「決め手は、直感ですかね!実際やってみないと分からないし、というのもありました。」

ー 当時エイケーさんの中で、どのような経営課題があって、田中さんと組むことになったのか、その理由と協業後の変化を教えて下さい。

久土地「まず、決算書等の経営の数字面が弱くて。そういった財務のプロフェッショナルが必要だと考えていました。これから事業を大きくしていくところでもあったので、財務のプロフェッショナルと一緒に相談をしていきたくて。ちょうどCFOを探していたところだったんです。
実際、協業し始めて思ったことは、田中さんは、ご自身のことをCFOと呼んでいますが、営業が強いんですよ!だから、当社の内装や工事の大型案件を受注する等、結構ぶっこんでくる(笑)。数字よりも営業の方が強いんじゃないかと思ってしまいます。」

田中「一応、リクルートでは営業を2年間やっていました(笑)」

田中「R時代の懇意な同僚がおりまして、彼が経営に関わる会社の業績がどんどん伸びていて、オフィスを移転する、ということを伺いました。
当時、大手の内装会社を含む3社とコンペをすることになっていたのですが、そのうちの1社として、エイケーという会社に当方が関わっていて、そのオフィス移転工事を、どうしても受けさせて頂きたい、ということで彼と話をしまして、その後、コンペに急遽参加させて頂きまして、当社エイケーにご発注をして頂きました(笑)。」

久土地「そうそう。田中さんは本当に営業に強いんだよね(笑)。1億以上の工事案件を人間関係で取ってくれる、CFOは日本で田中さんだけだと思いますよ(笑)。」

田中「本来、CFOの業務スコープとして、久土地社長がやって欲しいスコープは、財務やファイナンス、各種工事の採算管理や資金繰りに関する業務だったと思うのですが、勿論こちらの業務も行いつつ、経営とはキャッシュ(現預金)を増やすことですので、収入を増やす営業であったり、組織や人材の育成であったり、業績を上げるために、必要なことは定性的、定量的な領域を問わず、何でもやらないといけない、という気持ちで関わらせて頂いております。」

久土地「あと、田中さんは、本当に人付き合いが上手いな、という印象です。」

田中「内装とか工事の案件や仕事では、真っ先に久土地社長が思い浮かぶので、もちろん、ご紹介しますよね(笑)」

久土地「ありがとうございます。営業も強いCFOはめちゃくちゃ良いです!」

ー 田中さんがエイケーでCFOをされる中で、工夫や注力した点はありますか?

田中「現場に足を運んだことですね。机の上やPCを見ているだけでは、社内のスタッフや従業員さんから、信頼を得れる訳がありませんので、時間があれば、とにかく施工中、工事中の物件の現場に足を運びました。
経営において、一番大切なステイクホルダーは、社内のスタッフや従業員さんですから、単に正論だけをいっていて、社長と懇意な間柄の存在だけでは、バリューを発揮出来ないと考えております。

ビジネスの現場に赴いて、現場で起きている事象から、バーチャルなPL、BS、CFのイメージを固めていきました。特に、建設業では、PLと資金繰りが逆の動きをすることと、原価計算についても、見積り、施工中、実際の受領する請求書と原価が嵩んでいる企業が一般的です。各種工事について、採算が悪化することがないように、当然経営ですから、時には締め付け役で嫌われ役になることもありますが、1件当たりの工事の採算を管理しておりました。
久土地社長は、経営者としての「センス」が卓越されているがゆえに、たまに社内のスタッフや従業員さんが、社長の意図を汲み取ろうと努力されているシーンがありますが、当方から、社内のスタッフさんに対して、懇切丁寧に久土地社長の意図や背景を代弁したり、原価計算の考え方、プロジェクトのタスクの管理の仕方等、業者との交渉の仕方等を、僭越ながら支援をさせて頂いておりました。」

久土地「社員の教育やマネジメントまでして下さったのは、とても助かりました。」

田中「他案件との兼ね合いもあったのですが、多い時は、月に半分くらいは現場に通っていました。当初は、引き受けさせて頂いた瞬間から、久土地社長のお父様、お母様、社長の奥様、奥様のお姉様、弟様等、皆様同士の関係性も良好なご家族経営でした。
難しい難しいシチュエーションであり、とても気を遣わせて貰っておりました。

また、PLやBSについても、どこまでの情報をスタッフに開示して良いのか等も悩みました。プロジェクトマネージャーの方達には、責任感を付与すべく、透明性も大事ですが、開示しすぎるのもよくない。家族経営されているがゆえの難しさはありましたね。」

久土地「確かにちょっと、うちは難しいかもね。家族経営だからね...!」

ー 家族経営をされる中で、田中さんの強みや能力によって、会社が変わったという部分を具体的に教えて下さい。

久土地「具体的にいうと、CFOとして、各案件の予算管理、原価計算をして頂いて、会社経営基盤の底上げをして貰っていたということや、人材採用、広告運用のマーケティング、金融機関対応も全てやって頂いておりました。営業もやって頂き、本当に凄い人です。感謝しております。」

田中「本来CFOというのは、CEOがしない業務全てを請け負う、という考えを持っています。あくまでも意思決定をされるのはCEOですが、その意思決定が正しいか、正しくないかをCEOの懐刀として、数字、ロジック、ファクトに基づいて、財務プロジェクションを回しながら、CEOや経営陣に具体的な「示唆」を出すことがCFOだと思っています。
日本では、単に経理やファイナンスの一部だけ分かるや、IPO準備に従事されたことがあることが、スキルセットではないと思っております。
こと、採用においては、成長フェイズの企業のCEOは、久土地社長もそうですが、常に前のめりですので、スタッフをどんどん採用されたい意向が強いです。
一方で、CFOが念頭に置かないといけないことは、会社の現預金が、現在、1ヵ月後、3ヵ月後、半年後、1年後、どう推移していくかを、エクセルのモデル上もそうですが、常に動的な動きをする企業経営において、定性的な経営状況を頭に入れておかないといけないです。特に、採用後の人材育成が、企業の成長にとっての生命線になりますので、人材採用については一切の妥協をしてはいけないと思っています。
最高の人材を採用し、早期に育成することに、経営陣が愚直に取り組まないければといけないと思っています。
また、ミスマッチも防がないといけないですし、会社の「社風」や「理念」に共感をして貰えるかも、数字屋が定性的な話をしますが、リアルな経営のシーンでおいてはとても大切なことだと考えております。
久土地社長と当方で、採用をさせて頂きました御方は、現在役員に就任をされ、当時は”田中さんみたいなカチッとしたタイプの人がいる会社は絶対に伸びます”と言って頂きましたことはとても嬉しく思いました。」

久土地「どのポジションに、誰をいくらでいつから採用するかについては、いつも田中さんに相談をしていました。田中さんの経験値や視点を入れて頂き、会社の成長を実感しています。」

ー 今後、お互いに期待する部分はどんな点でしょうか?

久土地「今後も、田中さんのネットワークや知見を活かして、当社にとってビジネスチャンスになるような機会を運んで頂いたらとても有難く思います。今後もとても頼りにしています。」

田中「エイケーが世界で活躍する空間デザインの唯一無二の会社で、あって頂きたいと思っています。久土地社長には、日本を代表する社長になって頂きたいと思います。当方は久土地社長にCEOとしての会社の経営を学ばせて頂きました。世の中には、内装業で上場している会社もいくつかありますが、そのような競合先よりもどんどん飛躍して行かれて貰いたいです。」

久土地「有難うございます。もっともっと会社を大きく出来るように進みたいと思います。」